稀有な人

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(なんばbearsにて 右から2人目)

「友情」を読み終わって浮かぶのは、鼻炎トリオドラマー有馬たけしさんのこと。
この9月1日に亡くなった。
病気とは無縁のような彼だったけれど、平尾誠二氏と同じような病気になって
病名を聞いたときは耳を疑ったけれど、彼はあっけらかんと隠さなかった。
病名を公にして、ライブの時も「これが最後かも」なんて危機感をあおって
「これで結構客を呼べるな」なんて自虐的に笑って、しんどい中もライブをしていたね。
そんな姿が、最後まで表舞台に出た平尾誠二氏に重なるんよ。
寝込んでからも、なんとか治験の対象者になれないかって模索していたし
最後まで諦めなかった。

病気療養中に時々メールを交わしていた。
そう…私が肺炎で入院していたときとも重なり、お互いの入院生活の話や治療の話をした。
どちらの退院が早いかなんて、お互いを「お大事に」なんて言いながら…滑稽なメールだった。
本当に辛くて寝込んでいるときは返事はくれなかったけれど
少し調子が戻ると必ず返事をくれた。
その時々の様子を隠さず教えてくれ、あれこれ試して治療している様子が書かれていた。
「諦めが悪いんで」
そんな言葉がメールの最後に付いていた。

水ようかんのおいしいのを紹介してほしいと言われたこともあった。
のど越しのいいもの以外、もう余り食べられなかったのかもしれない。
想像はできたけれど、聞けなかった。
8月には例の「越のルビーのトマトゼリー」を送ったら、喜んでくれた。
それが最後だった。
何も知らずに月が替わったからどうしてるかな?と、9月1日にメールをしたものの
ずっと返信がなく、胸騒ぎがしていた。
彼はその9月1日に亡くなっていた。
虫の知らせだったのかもしれない。

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元気な時は「ひみつキング」というバンドでドラムを叩いていた。
毎回その時の情勢を反映した、風刺の効いた過激な爆笑コスチュームで現れ
それも楽しみで難波まで何度か見に、聴きにいった。
彼らの演奏はほんの1分ほど、ダダダダッで終わってしまう。
間違えた!とやり直されても、どこが違うのかもわからかった。(笑)
でも、体の中からほとばしる音やリズムが刺激的で大好きだった。
そんな有馬さんのドラムを見て、鼻炎トリオでドラムを叩いてくれないか?とお願いした。
普段超高速ドラムを叩いていた有馬さんにとって
鼻炎トリオのリズムは時に遅すぎて、苦労していたようだけれど(笑)
彼が加わることで何やら怪しさが増すようで、私は気に入っていた。

ドラムだけでなくギターもベースも弾けた。
自宅には、知らない人にとってはガラクタと思われるギターが100本以上あって
暇があればひみつの部屋に籠って改造したり修理したり。
電気系統にめっぽう強く、あれこれいじって過激な音、ひずんだ音を出して喜んでいた。
カンチは彼にエフェクタを作ってもらったこともある。
ずっと少年だったよね。

そんな彼だったけれど、実はとても礼儀正しかった。
何か連絡をいれると即座に反応してくれたし、人との距離の取り方は紳士だった。
バランスが絶妙にとれていた。

52才…若すぎる。けれど、自分の人生を生き切ったのかもしれない。
亡くなったことがまだ実感できなけれど、そう思って自分を納得させている。

大きな宝を失ったのは確か。
失ってから重みは更に増す。




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# by doublestrings | 2017-11-19 17:55 | その他 | Comments(0)

人生はラグビーボール

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言わずと知れた、日本のラグビー界を牽引したミスター・ラグビーこと故平尾誠二氏と
iPS細胞の研究でノーベル生理学・医学賞を受賞した山中伸弥氏。
2人は40才半ばで、ある対談を通して知り合い、以来無二の親友として付き合い始める。
ところが、平尾氏が肝内胆管癌であることがわかり
山中氏は医師として治療法や病院探しに奔走する。
平尾氏はそんな山中氏を「先生を信じると決めたんや」と信頼し、最後まで諦めずに治療したが
その甲斐なく、53才という若さで亡くなってしまう。
平尾氏を治すことができず、山中氏は涙する。
「助けてあげられなくてごめんなさい」

本は三部構成になっている。
第1章 平尾誠二という男(山中伸弥)
第2章 闘病ーー山中先生がいてくれたから(平尾恵子)
第3章 平尾誠二・山中伸弥
   「僕らはこんなことを語り合ってきた」

それぞれの分野で一流の2人の間で交わされた言葉、その友情に敬服した。
そこに流れる上等な男同士の繋がりに、嫉妬を覚えるほど。
こんな人間関係が羨ましい。

人生はラグビーボールと同じ。どこに転がるかわからないから面白い。
平尾氏はそう言って自分の人生に起こったことを受け止め、最後まで諦めずに闘った。

半日で読めます。おすすめ。



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# by doublestrings | 2017-11-17 19:30 | その他 | Comments(0)

上を向いて歩こう

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病院ではこの頃、院外でお薬を処方することを奨励している。
私もいつものように、いつもの薬局で処方箋を持参してお薬をもらう。

私のほんの一足先に、年のころ70代のおじいさんが
少し足がお悪いのか、杖を手に持って薬局に入られ、受付された。
そのすぐあとに私も受付を済ませ、ソファで待っていると
そのおじいさんが薬ができる前に立ちあがって、薬剤師のお兄さんに言った。

「この薬、前のを止めて新しくなったんやけど、ワシは前のんでええんやけどな」

店内は狭いから、否が応でも聞こえるおじいさんと薬剤師さんのやりとり。
薬剤師さんは決められたお薬を処方するのがお仕事。
おじいさんの話を聞きつつも、どうしようもないという雰囲気が漂っている。

「前の薬とこの薬とどうちがうんや?こんなもん、大して違わんのやろ?」

「いえ、似ているんですが、微妙に効き終わりのところが違うんですよ」

即座にそう受け答えする薬剤師のお兄さんに、それなりの経験を感じた。

「そんなん、大して変わらんのとちゃうんか?
 ワシは前のでええって先生に言うたんやけどな」

「替えられたのにはなにかワケがあるんじゃないですか?」

「そんなもん、何も変わらんのに、なんで替えなあかんのや」

「それは次に先生に聞いてもらった方がいいと思いますので」

「なんで前のんやったらアカンねん、ワシはあれでええんやけどな…」

口調はまだ穏やかだけれど、おじいさんは引き下がらない。
薬剤師さんは粘るおじいさんに困っていた。

「あの…次の方がお待ちですので、あとでもう一度お話ししていいですか?」


次の方というのは、いわずもがな私のこと。私以外だれもいない。
するとおじいさんの態度が豹変した。

「お前、今なんて言うた!次の方がお待ちやて?何言うてるねん!ワシも客やぞ!
 こっちは金払てるんや!なめとるんか!」


お金はまだ払ってないのに、おじいさんは激怒し始めた。
けど、おじいさんはヤクザではない。
普通の中の普通に見える。だけど大声で薬剤師さんを怒鳴る。

「ほんま、なめとるんか!それでよう仕事しとるな!」


薬剤師さんは、何を言われても「すみません」と謝っている。

「そんなんでよう金とるな!ええ加減にせいよ!それが年上に向かって言うことか!」


ええ加減にするのはどう考えてもおじいさんのほう。
医者にしかできない仕事を薬剤師にぶつけ、更に文句を言うおじいさんは
1人でヒートアップしていく。

「言い方が悪くてすみませんでした。それじゃ、もう一度説明をしますので」

「それじゃってなんやねん!それじゃって!
 もうええわ!はよせんかい!こっちは金払てんねんぞ!
 ほんま、なんちゅう扱いをするんや!ええ加減にせいよ!」


再度言う。おじいさんはまだお金は払ってない。
おじいさんのせいで事務が滞っているのに、早くしろと言う。
ガラスの向こう、奥にいる女性の薬剤師さんたちは、誰ひとり表に出てこない。
薬剤師のお兄さんが1人、サンドバックになってひたすら謝っている。

じ~っと聞いていた。
このおじいさんは何を急に激怒し始めたのか。
「癇癪」という文字が頭をかすめる。
きっと医者の前では何も言わない、言えないんだろう。
そのストレスを力関係の弱い方に向かってぶつける。

下を向いて聞こえないふりをしてきたけど
あまりにお兄さんが気の毒になって、私の腰が浮きかけた時
おじいさんは薬をもぎ取るように受け取って、ぶつくさ言いながら帰って行った。

年を取るとあちこちに無理がきかなくなり、思うようにできないことが増える。
でもそれが避けられない現実でもあるわけで
そんな自分が認められないのか歯がゆいのか、そんな気持ちはすごくわかるけど
自分の中にあるイライラのコントロールが、年を取ると難しくなるのかなあ。

おじいさんが帰ったあと、私の薬が処方され、あのお兄さんが何事もなかったように対応した。
「大変やったね」という言葉が喉元まで出かかったけれど、飲み込んだ。
「お大事に…」そういうお兄さんの声を背に、自動ドアのボタンを押して外の空気を吸う。
プロやね…大したもんやわ。

ドアの中であったことは悲しい。あんなお年寄りを見るのは悲しい。
きっとおじいさんも何かで苦しんでいるんだろうけれど…ね。
時々癇癪を爆発させるお年寄りに出会う。
体力がなくなると、若いころなら我慢もでき繕うこともできたのに
体力がなくなってしまうと、辛抱が効かなくなり「素」になってしまう。
繕うのにも体力が要るからね。
体力がなくなるって、体だけではなく心も左右するんやなと思う。
お盆にお寺さんが言うてはったことを思いだす。
年を取った時、隠れていた「素」の自分がでると怖いって。
あのおじいさんの姿は決して他人事ではない。
誰もが避けられない道をどう迎えるか、日々問われているのかもしれない。

いろんな老人に出会う。
その姿を見るにつけ、かわいいおばあちゃんになりたいなって切に思う。
でも、だからって俄かにかわいいおばあちゃんにはなれるわけでなし
私の体を縦に割った時、そこにどんな層が現れるのか。
いろんな経験をどう積み重ねてきたかが、私の明日を決めるんやね。きっと。
「素」になっても胸を張れる日々を平素に実行するのはすごく難しい。
何しろ、修行しているお寺さんでさえ、できるかなって心配してはるんやから。
私は煩悩の塊やから、何をか言わん。

結局は目の前の毎日を大事に生きることから始まっているのかな。
あのおじいさんも「人生フルーツ」しはったらええのに。


上を向いて歩きたい。




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# by doublestrings | 2017-11-15 17:44 | その他 | Comments(0)

ピアマータライブ

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高槻ピアマータにて、中村”たこ”達紀くん主催の
「先輩~後輩」と銘打ったライブにカンチも出演。

カンチ、中村”たこ”達紀くん、そして、一番若いのは奥村ゆきちゃん。
中村くんがなぜ、先輩と後輩にこの2人を選んだかというと
その共通点は、自分に優しく声をかけてくれて、いろいろ気にしてくれたからという。
彼の気持ちに何か響いたものがあったとしたら
そして、それが「優しい」というものであったのなら
ここに呼ばれたことは光栄なことでうれしい。

終わってから、ピアマータの主催者である、中村くんのおかあさんに誘われて
場所を替えて終電までみんなで食事&飲み会。
あれこれいっぱいおしゃべりして、楽しかった~!
帰りの駅までゆきちゃんと一緒。
別れる間際まで元気いっぱいで、気持ちの良い子だった。

楽しい出会いの夜、その時の様子をこちらに少しアップしました。
よかったら…
http://doublestrings.web.fc2.com/kanchi/kanchi2017/piamater.html



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# by doublestrings | 2017-11-13 17:49 | 音楽 | Comments(0)

山崎に住んで

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山崎駅前のお気に入り「レリッシュ」
小さいお店の中に厳選されたものが並んでいる。
ガラスの向こうには天王山。
紅葉が始まっている。

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1Fのtabitabiでランチ。
きっと混んでいるだろうなと思っていたんだけど
なぜかうまく席につくことができた。
時刻も12時…ばっちりやん。

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JR山崎近くに京都と大阪の境界線があって
我が家からJR山崎駅、阪急大山崎駅にいくには、その境界線をまたぐことになる。
その境界線を越えて、京都に踏み出し
大山崎山荘美術館の方角に向かい、山崎聖天さんを越えたところに
近年新しいパン屋さん「パヴェナチュール」ができた。
民家の間の、JRののり面近くの高台に建っている知る人ぞ知るお店。
用のない人は通らないような道筋に建っている。
ずっと気になっていたので、思い切って探して出かける。

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イートインもできる。
今回は買わなかったけれど、麹を挟んだパンもあった。

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お天気が良ければ、テラスに出てもいいかも。

天王山という山があり、麓には三川合流、向こう岸には京都八幡、右を見れば大阪枚方が広がっている。
名神高速道路、新幹線、JR、阪急、そしてR171、淀川向こうには京阪電車にR1が
ここでぎゅっと束になっている。
この地形が歴史を翻弄し、今なお面白い文化を育てているのかもしれない。

お水もいいし…改めてええとこやと思う。





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# by doublestrings | 2017-11-11 09:58 | 喫茶 | Comments(0)

空の向こうに


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